
【中編】僕らは“LGBT”とまとめられて、まとまってみることにした
〜トランスジェンダーの井上さんと、ゲイの太田が、農家をはじめるまで〜
ゲイの自分は“イケてない”と思って、必死だった太田少年
- 井上
- 太田は、「安心できるコミュニティ」には出会えたの?
- 太田
- 実は、自分から聞いたことなんですけど、それにこたえるの難しいんですよね(笑)。出会えたは出会えたけど…というか。

- 井上
- 何か不満な点があったってこと?
- 太田
- いや、僕が欲張りだっただけなんです。当時、慣れないインターネットでなんとか見つけたのが、新宿二丁目とかの“夜の街”か、主にNPO法人が運営されてる“真面目なイベント”だけだったんですよね。で、新宿二丁目は怖いと勘違いしていた時期だったので、後者にはいくつか行ったんです。すごく丁寧に運営されているものばかりで、たしかに「自分は1人じゃないんだな」と安心はできました。けど、居心地がいいものではなかったというか。そういう意味では安心できなかったというか、物足りなかったというか…。
- 井上
- 何が足りなかったの?悩んでる時に「真面目な集まり」って大事だと思うんだけど。

- 太田
- そうですね、完全に大事だと思います。ただ当時の僕にとって「ゲイの自分」って“イケてない自分”だったんです。だからこんな自分って“イケてる”って思う機会がほしかった。“真面目”なだけじゃなくて“センスがいい”とかも僕には重要だったんですよね。どのイベントも本当、優しくて真摯に対応してくださるスタッフさんがいて安心できたし、1つ自己肯定感のステップをのぼりましたけど、じゃあずっとそこにいればもっと自分を好きになれるかと言うと僕はそんなことはなかった。「こんなかっこいいゲイの人たちいるんだ!」と自分が心から憧れる人とか集団に出会いたかったんですよね。その意味では、僕は「憧れのコミュニティ」の方を探してたんでしょうね。


- 井上
- なるほど。でもこの数年でセンスにこだわった団体って増えたよね。
- 太田
- そうですね!『GENXY』とか知ってます?もうすごいですよ!オシャレで。取締役やってるまきとくんとか緊張して話しかけられないんです、僕。中2かよっていう(笑)。あとは僕にとって最初の「憧れのコミュニティ」になったのは、松中権さんが代表の『グッド・エージング・エールズ』ですね。社会人になってから見つけたんですが「そうそう!こういうのこういうの!」って興奮しました(笑)。権さんありがとう、好き!
- 井上
- 空に向かって叫ぶの、はじめて見たわ(笑)。
- 太田
- 高ぶっちゃいましたね。
- 井上
- でも、『やる気あり美』もセンスいいもんね。
- 太田
- いやぁ…僕らはアホなことばっかりやってますけどね。でもそう言っていただけると嬉しいです。コンテンツを愛してる面々が集まってるので、その感性は出てるとは思いますね。
