「レアキャラは嫌だ、“ふつう”が良い」10代LGBTが今思うこと。
人生は、踏み出す限り希望がついてくるに決まってる。
ついてこないなんて認めません!
- ぽんちゃんはどうかな?さっき「言えてない」って教えてくれたけど。
- はい。私は前までは自分のセクシュアリティにハッキリとした自覚がなくて。女子高だからそうなのかな、と思ってたんです。
- けど、大学に入って男の子もいる環境になって、それでもやっぱり女の子が好きだなって分かって、これから先どうしようかなと思ってます。
- そうかそうか。将来が不安?
- はい。牧村朝子さんの考え方が、レズビアンだからというより人として好きで、本をよく読んでるんですけど、でももっと身近なロールモデル?もいたらいいなって思います。
- 身近な先輩とかでいたりするといいよね。
- はい。
- どう、これ(ゆりかを指差す)。
- ちょっとやめな?(笑) ぽんちゃんにも選ぶ権利あるからね?
- いえ(笑)、お会いできて嬉しいです。
- 本当?ありがとうね。でもそういう不安な気持ちがあったから、まずこういう場所に来てみたんだもんね。行動してて偉いよね。
- ありがとうございます。
- うん、本当に偉いと思う。人間、一歩前に進んでみることをやめない限り、人生はずっと希望があると思うのね。今の状況が恵まれてる恵まれてない、とかじゃなくて。進むことが大事。…ってなんか分かりにくいこと言ってるな。
- (笑) もうちょい頑張って?
- すみません(笑)。とにかく、今日こうしてここに来た自分を褒めてあげてほしいってすごく思ってるのね。ぽんちゃんすごいよ。
- いえいえ…。
- 本当すごいんだよ。ぽんちゃんも、まちちゃんもなおちゃんも、今日ここに来るっていう一歩を踏み出したわけじゃん。不安もきっとあったと思う。でも人生ずっと大体不安でさ、「不安」を理由にしてたら何も進まないんだよね。
- まぁ、たいがい不安だよね。
- そう。大人の僕らも、偉そうなことを言ってるけど変わんなくて、今日こうして勇気をだして来てくれた3人から僕らも勇気をわけてもらってるんだよ。3人のこと心からリスペクトしてる。踏み出すことを笑う人はいつも湧いて出てくるけど、でも必ず「素敵だね、一緒に行こうね」って言ってくれる人も出てくるのね。だからみんな、全然将来大丈夫だよ。
- ありがとうございます。
- 大丈夫にきまってるよ。大丈夫じゃない社会とか、認めないから僕が!
- 神かよ(笑)。でもそうだね。認めないよね、俺らが。
- 踏み出す限り希望が必ずついてくると僕は信じてるし、ぽんちゃんにも、2人にも信じていてほしいと思うよ。
10代のみなさんへ。
めんどくさいけど、コミュニケーションは急げないから。
- あと、もう、時間だから畳み掛けるけど。
- (笑)。
- ごめんね。こいつ、こうなったら止まらない人間なの。
- (笑)
- みんなこれからも誰かに「気持ち悪い」って言われたり、受け入れてもらえなかったりすることがあるかもしれないし、その時は傷つくし、傷ついて当たり前だけど、でも「コミュニケーションは急げない」ということは分かっておいてほしいなって思うのね。人の心が動くのには本当に時間がかかるから。だから「理解できないだろうから離れてしまう」を簡単に選んでしまわず、いつも踏ん張ってほしいなって思う。
- まあ、直感的に「無理」って人はいるし、いていいんだけどね。
- そうだね、それもいるんだけど。
- でもずっと一緒にいたい人に対しては、心を動かすジャブを打ち続けてほしいと思う。何か言われて傷ついて泣いても、泣き終わったら「まあ仕方ないよな、すぐには伝わらないよな」って、思う癖をつけてほしい。一発KOパンチはないから、大切な人とは、ゆっくりコミュニケーションを続けてほしい。例えばまちちゃんだったら「私の友達にもLGBTの子がいるよ~」ってお父さんに話してみたりするとかいいかもしれないよね。
- はい。
- そうだね。「どんな人なの?」って聞かれたら「別に、特に私と変わんないよ」って言ってみるとかね。
- 時間をかけても分かってもらえないことって悲しくもあるけど、でも伝わることの方が多いから、信じてほしい。
- そっか…。
- うん。俺も親にカミングアウトをした時、その後暫くセクシュアリティの話題に触れてこなかった時期があって、それが悲しかったんだよね。けど暫くしたら「彼氏はいるの?」とか、またコミュニケーションを取ってくれるようになったよ。
- へ〜。
- 太田が言ったように、親もすぐには理解できなくて、ゆっくり時間をかけて咀嚼して、息子がゲイだという事実を受け入れていったんだと思う。
- 結局コミュニケーションは急げないんだよね。だから皆人との関わりを諦めない人になってほしいって思う。
- なんか、元気がでました。ありがとうございます。
- 私もです。ありがとうございます。
- いや、なんか言わせてごめんね(笑)。
- そんなことないです!嬉しいです。
- じゃあマジ太田が尺とったけど(笑)そろそろ時間なので、最後に皆から感想を聞かせてもらおうかな!
- はい。えーと…、来て本当によかったです。普段できないような色んな話を赤裸々に話せて嬉しかったです。
- ひゃん!嬉しい!
- 私は実は、この場にくるまで本当に緊張してて。昨日は家で鏡の前で笑顔の練習とかしてたんですよ。(笑)
- ばっちりじゃん!
- すっごい笑ってたよね!
- すみません(笑)。
- いやいや、素敵だったよ。まちちゃん、成果でてた!
- ちょっと気負いすぎて、面接前みたいになってたんですけど。この場にきたら友達とカフェで話してるみたいな、悩んでることも不思議とサラッと話せる安心感があって、居心地がよかったです。ありがとうございました。
- 私は、とにかく楽しかったです、みなさんと話せて。こんなLGBTの大人もいるんだと思ったら勇気が出ました。
- 嬉しい…。俺は逆に皆の話を聞いて、もっと当事者の先輩としてできることはないのかな?と改めて考える良い機会になったよ。
- まだまだ課題だらけなんだなって改めて思ったね。
- 本当にそうだね。さっきはコミュニケーションを諦めないで欲しいって、皆を鼓舞するような話をしたけど、本来だったらもちろん、皆がそんな努力をしなくて済む状況になるべきだと思っているし…
- ちょっと待って?泣いてる?
- 泣いてるね、これ。
- (笑)。本当に僕達が10代の子たちの可能性をつぶさない未来を作らないといけないなと強く思えました。それは大人としてすごく大事なことを思わせてもらったなと思ってます。僕達もできることをやるから、みんなもこれからもいつも希望をもつことを諦めず、生きていって欲しいなと思います。今日は本当にありがとう。
- ありがとうございました。
photo: tomomatsu rika
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